「森を壊してGDP増」をいつまで賞賛するのか?国連が先導する、脱・成長依存の指標づくり

「森を壊してGDP増」をいつまで賞賛するのか?国連が先導する、脱・成長依存の指標づくり

2026年、私たちは大きな岐路に立っている。 私たちがこれまで「進歩」の絶対的な指標としてきた国内総生産(GDP)。その数値が上昇し続ける裏側で、気候変動や生物多様性の損失など、地球の安全な限界(プラネタリー・バウンダリー)の多くをすでに超えている。2026年2月、国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、ガーディアン紙などを通じて、現代の経済システムが抱える致命的な欠陥を指摘し、世界経済が「GDPを超える指標」を早急に確立すべきだと強い警鐘を鳴らした(※1)。...
日本企業にCCO・最高循環責任者の役職誕生へ。ECOMMITが国内初の設置

日本企業にCCO・最高循環責任者の役職誕生へ。ECOMMITが国内初の設置

サーキュラーエコノミーの実装は、一企業の努力だけでは完結しない。サプライチェーン全体、さらには業界や行政の垣根を超えたエコシステムの形成が不可欠である。 そうは言っても、結局は「誰か」が従来の枠を超えて、異分野を繋ぐ挑戦を始める必要がある。システミックな変革も、最初の小さな一歩は多様な立場を理解している個人の仲介であるのだ。 2026年1月20日、資源循環サービスの開発・提供を行う株式会社ECOMMIT(エコミット)は、新たに「CCO(Chief Circularity...
「足るを知る」を国策に。脱成長と公正な移行の起点となる「十分政策(Sufficiency Policy)」のいま

「足るを知る」を国策に。脱成長と公正な移行の起点となる「十分政策(Sufficiency Policy)」のいま

本コラムは、2026年2月5日にIDEAS FOR GOODのニュースレター(毎週月曜・木曜配信)で配信されました。ニュースレター(無料)にご登録いただくと、最新のコラムや特集記事をいち早くご覧いただけます。 ▶️ニュースレターの詳細・登録はこちらから! 有限な地球で、無限の成長を続けることはできるのか。...
話した言葉をすぐ点字に。専門知識がなくても点字ラベルが作れるプリンター

話した言葉をすぐ点字に。専門知識がなくても点字ラベルが作れるプリンター

視覚情報に頼らず情報を伝えることができる点字。必要とする人にとって欠かせない存在である一方、読み書きには専門的な知識や経験が求められる。だからこそ、点字を用意してアクセシビリティを高めたいと思っても、実際には簡単とは言えない場面が多かった。伝えたいことがあっても、「仕組みがわからない」という理由で、その一歩を踏み出せずにいる人も少なくない。 そうした、点字を用意する際に生まれてきたハードルを軽くしようとしているのが、ラベルプリンター「Nemonic Dot」だ。...
観光を「数」の呪縛から解き放つ。欧州が提唱する「アンバランス・ツーリズム」の本質

観光を「数」の呪縛から解き放つ。欧州が提唱する「アンバランス・ツーリズム」の本質

観光を巡る政策の考え方が、欧州で大きく変わりつつある。 その背景にあるのは、観光の「回復」と「集中」が同時に進んでいるという現実だ。UN Tourismによれば、国際観光客数は2024年時点でほぼコロナ前水準まで回復しており(※)、とりわけ欧州は世界でもっとも訪問者が集中する地域の一つであり続けている。一方で、世界全体の国際観光客の約4割が、わずか10の国・地域に集中しているというデータも示されている。 しかし、観光の「回復」は必ずしも均等ではない。場所・季節・来訪者層ごとの偏りは、むしろ強まっている。...
自転車政策は「住みやすさ」の指針であり「美学」。パリが示した、文化としてのサステナビリティの育て方

自転車政策は「住みやすさ」の指針であり「美学」。パリが示した、文化としてのサステナビリティの育て方

「天気がいいから、今日は自転車で行こう」 パリ在住の筆者の移動手段は、もっぱら自転車だ。メトロの人混みを避け、信号待ちのあいだに川面の光を眺め、用事のついでにカフェへ立ち寄る。それは特別な行為ではなく、この街の日常の一部になっている。...
小さく丁寧な循環で、あったかい地域を。服がめぐり、人がつながる「Community Loops」

小さく丁寧な循環で、あったかい地域を。服がめぐり、人がつながる「Community Loops」

Sponsored by Community Loops 街を歩いていると、アパレル店や大型商業施設などで衣類の回収ボックスを見かけることが増えてきた。日本だけでも、衣類の廃棄量は年間約50万トン──その廃棄の多さが課題視され、衣類を循環させようという機運が社会で高まっていることの表れだろう。 身近な場所にそうした回収拠点があると、便利なことには違いない。しかし同時に、こんな疑問を持ったことはないだろうか。そこに入れた服は、結局どこへ行くのだろう?...
アートの楽しみ方は、ひとつじゃない。「だれでもアーティスト展」大阪で開催【IDEAS FOR GOOD Museum in PLAT UMEKITA Vol.5】

アートの楽しみ方は、ひとつじゃない。「だれでもアーティスト展」大阪で開催【IDEAS FOR GOOD Museum in PLAT UMEKITA Vol.5】

「アートは、静かに見るもの」 「作品は、目で鑑賞するもの」 そんな当たり前を、私たちはいつの間にか前提として受け取ってきました。けれど、その前提は、本当にすべての人にとっての「当たり前」でしょうか。 見え方、音の感じ方、触覚、コミュニケーションの取り方……もし、そんな人それぞれに異なる“感じ方”の違いそのものを、アートの入口にできたなら。 IDEAS FOR GOODを運営するハーチ株式会社は、TOPPAN株式会社が運営する大阪・梅田の体験型共創拠点「PLAT...
スペイン、気候変動「適応」の授業必修に。洪水・山火事対策を学ぶ時代へ

スペイン、気候変動「適応」の授業必修に。洪水・山火事対策を学ぶ時代へ

学校での授業中、地震が起きた。その直後にとる行動は何か──すぐに自分の机の下に潜る。その一択だろう。なぜなら、そう教わり、その行動を練習してきたから。 けれども、もし「未知の災害」に襲われたら、特に子どもたちは柔軟に対処することができるだろうか。少なからず混乱をきたすはずだ。...
友達と話す時間も、給料が出ます。スウェーデンの薬局が始めた、孤独を癒やす「友情休暇」

友達と話す時間も、給料が出ます。スウェーデンの薬局が始めた、孤独を癒やす「友情休暇」

「最近、誰かと心を通わせる会話をしただろうか」そう問いかけられて、即座にイエスと答えられる人はどれほどいるだろう。 現代社会において、「孤独」はもはや個人の問題ではなく、タバコ15本分に匹敵する健康被害をもたらす存在として世界を蝕んでいる。そんな中、北欧スウェーデンから驚くべき解決策が登場した。同国の大手薬局チェーンが、従業員に対して「友達と過ごすための時間」を勤務時間中に提供し、さらにその活動費まで支給するというのだ。 スウェーデンの薬局チェーン「Apotek...
私たちはスマホを「使っている」のか、それとも「使われている」のか?【イベントレポ】

私たちはスマホを「使っている」のか、それとも「使われている」のか?【イベントレポ】

本コラムは、2026年1月29日にIDEAS FOR GOODのニュースレター(毎週月曜・木曜配信)で配信されました。ニュースレター(無料)にご登録いただくと、最新のコラムや特集記事をいち早くご覧いただけます。 ▶️ニュースレターの詳細・登録はこちらから! 1月末の寒波到来中の夜、あるイベントを開催した。昨年IDEAS FOR GOODが実施したクラウドファンディングの支援者の方々に向けて開催した「ちょうどよいデジタルを考える会」だ。 「皆さんは今日、何回、無意識にスマートフォンを手に取りましたか?」...
海を汚さない洗濯へ。いつもと同じ洗い方でマイクロプラを減らすフィルター技術

海を汚さない洗濯へ。いつもと同じ洗い方でマイクロプラを減らすフィルター技術

エベレストの山頂から海洋の最深部に至るまで、今や地球上のあらゆる場所に拡散しているマイクロプラスチック(※1, 2)。毎年、推定1,000万〜4,000万トンのマイクロプラスチック粒子が環境に放出されている(※3)。この微粒子は、海洋生態系を破壊するだけでなく、地球の酸素の半分以上を生成し、炭素の約40%を吸収する、海洋の生物ポンプの機能を阻害している(※4)。...
世界初、海に浮かぶ銀行。災害時に備える、トルコの次世代インフラ

世界初、海に浮かぶ銀行。災害時に備える、トルコの次世代インフラ

もし、大地震で道路が寸断され、いつもの銀行もスーパーも閉まってしまったら。2023年にトルコを襲った大地震では、まさにその「陸路の崩壊」が支援の大きな壁となった。 そんな絶望的な状況を、街を囲む「海」を使って解決しようとする大胆な試みが始まった。トルコ最大の民間銀行であるイシュ銀行が首都イスタンブールで公開した「イシュ・ヴァプル(İş Vapur)」は、世界でも類を見ない「浮遊する銀行」だ。一見するとお洒落な観光フェリーのようだが、その正体は、都市が機能を失った瞬間に人々の命綱へと変貌する、次世代の動く防災インフラである。...
旅は「退屈なのが」良い。スウェーデンで提案される“何も起きない”観光の価値

旅は「退屈なのが」良い。スウェーデンで提案される“何も起きない”観光の価値

私たちはいつから、旅先でまで「効率」を求めるようになったのだろうか。分刻みのスケジュールをこなし、SNSに投稿するための写真を撮り……そんな旅行のあり方が、知らず知らずのうちに「休むための旅」から私たちを遠ざけているのかもしれない。 そんな忙しない旅の在り方へ問いを投げかけるように、スウェーデンは「退屈すること」を肯定する旅のかたちを提案している。Visit...